お金の知識

意外と知らない!会社員が支払っている税金と社会保険料について!

こんにちは、29manです。

みなさんは自分が支払っている税金と社会保険料について把握していますか。

給与明細の収入や手取り部分だけを見て税金や社会保険料についてはきちんと認識していない人は意外と多いです。実際に私の周りにもたくさんいますし、若い人は特に関心が薄いのではないでしょうか。

払っているけどよくわからない、そんな会社員の税金と社会保険料について記事にまとめてみました。

税金・社会保険の種類

会社員の給与から毎月自動的に引かれている税金・社会保険には以下のようなものがあります。項目を並べただけでも既に多く感じますね。

【税金】
①所得税
②住民税
【社会保険】
③厚生年金
④健康保険
⑤介護保険
⑥雇用保険

税金と社会保険に分けて1つずつ解説していきたいと思います。

税金(①②)について

①所得税と②住民税は課税所得に税率を掛けて計算されます。なので、まずは前提となる課税所得の計算方法について確認したいと思います。

課税所得とは、収入(給与)から経費や所得控除を差し引いたものです。収入には会社からの給与や不動産による収入、配当による収入等さまざまですが、ここでは会社からの給与のみで生計を維持している一般的な会社員を前提として記載します。

課税所得=収入(給与)-経費(給与所得控除)-所得控除

一般的な会社員の場合、課税所得の計算式は上記のようになります。

給与所得控除とは、「会社員にも経費は掛かる」との考え方から設けられているもので、下表のように最低65万円から最大で220万円が控除されます。(2020年度から控除額が変わります。)

収入 給与所得控除額
180万円以下 収入×40%(ただし、最低65万円)
180万円を超え360万円以下 収入×30%+18万円
360万円を超え660万円以下 収入×20%+54万円
660万円を超え1000万円以下 収入×10%+120万円
1000万円超 220万円(上限)

出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)

所得控除にも種類があり、基礎控除(誰でも一律38万円)、扶養控除、各種保険料控除等があります。保険料控除などは年末調整で申請するのでイメージしやすいのではないでしょうか。

よく言われる「103万円の壁」というのは、基礎控除(38万円)と給与所得控除(65万円)を足した額で、ここまでの範囲で働けば所得税が掛からないというものですね。

それでは、それぞれの税金の説明に入ります。

①所得税

所得税は国税に該当し、課税所得に対して以下の速算表のとおり算出されます。

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1800万円以下 33% 1,536,000円
1800万円を超え4000万円以下 40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796000円

出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2018/01.htm)

つまり、課税所得が200万円の会社員の場合は以下の計算となります。

2,000,000円×0.1-97,500円=102,500円

よく勘違いされるのですが、日本の所得税は超過累進課税制度を採用しています。

単純な累進課税制度だとAさん(課税所得195万円)とBさん(課税所得200万円)が居た場合、たった5万円の差で所得税が急増するため不公平です。

間違った解釈

Aさん:195万円 × 5% = 9.75万円
Bさん:200万円 × 10% = 20万円

これを解消するために、超過した分だけを累進課税していく超過累進課税制度が採用されているというわけです。正しく計算すると速算表で算出したとおりになります。

正しい解釈

Aさん:195万円 × 5% = 9.75万円
Bさん:195万円 × 5% + 5万円 × 10% = 10.25万円

②住民税

住民税は所得税と異なり地方税に該当します。このため、税率は全国一律ではなく住んでいる地域により異なります。

ただし、どの市町村も考え方は同じで金額も課税所得の10%程度となっています。

住民税=所得割額+均等割額≒課税所得の10%

住民税については説明すると長くなるため、言葉の説明のみで割愛させてください。

所得割額 各個人の所得によって納税額が異なる。
均等割額 同じ市町村に住む人が一律に課税される。(所得による差はない)

 

社会保険(③④⑤⑥)について

ここからは社会保険について説明していきます。社会保険というのは総称で、給与明細には「厚生年金保険」、「健康保険」、「雇用保険」、「介護保険」と記載されていると思います。

税金は課税所得を基本に計算していましたが、保険料は主に標準月額報酬を基に算出されます。標準報酬月額は4,5,6月に支払われた給料の平均額により決定されます。

標準報酬には基本給のほか、残業手当、家族手当、通勤手当等の各種手当を含む総支給額が用いられ、標準報酬は事業主が提出する届け出によって、日本年金機構(年金事務所)が決定しています。

③厚生年金

厚生年金は会社員であれば誰でも加入するもので、年金制度の2階建て部分のことですね。

計算方法は下記のとおりです。

厚生年金保険料=標準報酬月額×保険料率

厚生年金の保険料率は下表のとおりです。

出典:日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.html)

例えば、報酬月額が250,000円の場合、17等級で標準報酬月額は26万円となります。
上記の式に当てはめると、

厚生年金保険料=26万円×18.300%÷2=23,790円

となります。

④健康保険

健康保険料は都道府県で異なりますが概ね9~10%です。健康保険もまた標準報酬月額により金額が変わります。

計算方法は下記のとおりです。

健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率÷2

健康保険の保険料率は下表のとおりです。見えづらいので、気になる方は全国協会けんぽのホームページを参照してみてください。


引用元:全国協会けんぽ(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.html

報酬月額が250,000円の場合、等級は20号となります。東京都の場合で計算すると、

社会保険料=26万円×9.90%÷2=12,870円

となります。

⑤介護保険

介護保険料は会社員の場合40歳以上から支払うことになっています。社会保険と同じく都道府県で料率が異なります。

介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率÷2

こちらも社会保険料と同じ前提(20号、東京都)で計算すると、

介護保険料=26万円×1.73%÷2=2,249円

となります。

⑥雇用保険

今までの社会保険料は標準報酬月額を使用してきましたが、雇用保険料だけは別の計算方法になります。

雇用保険料=収入×保険料率

保険料率は職種によって異なり、下記の料率が適用されます。

出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html)

 

職種が一般事業で給与が30万円の場合、30万円×3÷1000=900円が保険料となります。

最後に

いかがでしたか。どうしても手取り額に目が行きがちな給与明細ですが、今月からは少し視点が変わってくるのではないでしょうか。

会社員の場合、ふるさと納税や住宅ローン控除くらいしか節税が難しいですが、ぜひ引かれる金額にも意識を向けてもらいたいと思います。

なお、税率や保険料率は定期的に見直されますので注意してください!

最後まで読んで頂きありがとうございました。